ぼくは、君がいてくれば良かったんだ
それでだけで良かったはずなのに‥
みく「シュウー!おはよーまた遅刻?」
かずき「どうせまた夜までゲームしてたんだろー」
ぼく「ただのゲームじゃない、AIを育ててるだ」
かずき「はいはい、天才君が考える事は俺には理解できませーん」
みく「私は楽しみにしてるよーシュウが作るものはいつも魅力的だもん」
みくとかずきとぼくは、幼馴染で産まれた時からずっと一緒だった
僕たちは瀬戸内海にある小さな島で産まれた
本土へは橋で繋がっているが、島の面積はとても小さい。
だけど、この島で作っているみかんは日本中、いや世界中で食べられている名産品だ
僕たちは田舎育ちだけど、その事だけは唯一僕たちが自信をもって誇れるところだった
そのみかんも町の全員が作っているわけではなく、僕ら三人の中でもみかん農家はみくだけだった
みくは町1番の美人と言われた母親によく似ていて、とても可愛い顔をしている
本土に行った時スカウトに何度か声をかけられていたらしい
そんな可愛い顔を泥まみれ、みかん色に染めてもまだ顔をくしゃくしゃにして笑う笑顔がぼくは幼い頃から大好きだ
ずっと、この笑顔だけを見ていたいと思っている
だけど、僕たちは今年高校3年生。ついにバラバラになってしまうかもしれない
(放課後の帰り道)
シュウ「みくは本当に進学しないの?大学に行かなくてもみくなら、芸能界とかも目指せるじゃない?」
みく「?どうしたの?シュウw急に。私が島に残ってみかん畑を継ぐなんて、ずっと前から決めてた事でしょー。それに芸能界だってそんなに甘くないよ」
シュウ「いや、そうかもしんないけど。。」
みくの良さは僕が一番知ってる。だから本当はこんな田舎で一生を終えてほしくないんだ。
こんなにも魅力的なのに。。
みく「あ、かずきー!あれ?今日部活は?」
かずき「いや、もう引退よ!おれらももう3年だからなー。いよいよ本格的お勉強に専念しないといけないわけですよー。まぁ俺には強い味方の家庭教師がついてるから余裕だけどよw」
凄い視線を感じる、、、
シュウ「家庭教師ってまさか?」
かずき「っあたりめーよ!頼むよシュウーーー!」
シュウ「別にいいけど、、俺も独学だしちゃんと教えられるかわかんないよ?」
かずき「大丈夫大丈夫!シュウの教え方が上手いのはみくも俺もずっと前から知ってるから!」
みく「うん!それは私も保障する!受験しないけど、私も2人と一緒に勉強しよーかなーw」
かずき「いいじゃん!!じゃシュウの家集合な!」
シュウ「ちょっ勝手に決めんなよー。ばあちゃんに文句言われるよー」
かずき「シュウの婆ちゃん怖えーもんなー。まぁじゃうちにすっか?今日は母ちゃん達遅くなりそうだし」
みく「わかったー。私畑の仕事あるから終わったら行くねー!」
かずき「じゃまた!」
みく「ばいばーい」
危なかった、、、
家には作成途中のAIがある
まだ作成中の段階だから、出来ることなら見せたくなかった
かずきの家は街で一番でかい。そう。かずきは町長の息子だ
かずきは小さい頃いろんなプレッシャーを受けていたのに、そのプレッシャーに潰される事なく期待に応え続けている
運動神経抜群で、サッカーで本当は大学のスポ薦が決まっていた
なのに敢えて、普通に進学を希望していた
かずきはやりたい事があるみたいだった
それが何かはまだ教えてくれないけど、、、
ぼくだけ進路が決まっていなかった
別に進学してやりたい事なんてなかったし、僕はみくと一緒にいれればそれでよかった
僕が12歳だった頃、両親が交通事故で亡くなった
それからぼくは一緒に暮らしている祖母に育てられた
ばあちゃんは無口な人で、島の人達にも怖がられていたけど、ぼくは婆ちゃんに怒られた記憶はない
いろんな事を言葉ではなく、行動で教えてもらった
だけど、ぼくは本当はいろいろ喋りたかったんだ
婆ちゃんはいつもやりたい事をやれ。と言ってくれた
ぼくは勉強した
そして作ろうと思った
ぼくが一番欲しかったものを
これが成功すればきっとみくにもかずきにも役にたてる物が作れる気がした